スマート化に必要な問題解決の極意
【感性情報学を学ぶみなさんへ】
スマート化に必要なIoTは、問題を抱えている人や状態のわからない物に寄り添える電子機器です。ですが、その人や物の気持ちを測ることはできません。気持ちを推し量るには、その問題を抱えている人や状態のわからない物を使用する人に寄り添う人が必要なのです。寄り添おうと思う人に、スマート化に必要な問題解決の極意をお教えします。
【問題解決のプロセス図(三階層)】
本書では、スマート化に必要な問題の性質を「人や物に電子のカラダをプラスするIoT技術で問題解決できそうな問題」としました。そして、複数の問題解決パターンから、遂行する仕組みを創りました。その仕組みは、「問題解決のプロセス図」として表現しました。これを各章の扉に描いて、スマート化に必要なIoTに学ぶ問題解決の極意として各章で述べています。問題解決のプロセスは、三つのパターン(型)で階層構成されています。
【問題解決のプロセス図(一階層目)】
階層の一番上は、PDCAサイクルです。これは、生産管理などの業務を継続的に改善する問題解決の手法です。P(Plan:計画)→D(Do: 実行)→C(Check:評価)→A(Act:改善)を繰り返して、問題解決を漸進させて行きます。このサイクルは、どのような問題であっても共通の問題解決のパターンだと考えます。ただし、D(Do:実行)の部分は、問題の性質によって異ります。そこで本書では、D(Do:実行)を後回しにして、第一章をP(Plan:計画)、第二章をC(Check:評価)、第三章をA(Act:改善)として述べています。
【問題解決のプロセス図(二階層目)】
D(Do:実行)の部分は、さらに二階層に分かれます。階層の二番目は、問題解決する方法論としてIoTを使うのであれば、避けては通れない「変換」のパターンです。「変換」がうまくできなければ、問題解決はできません。筆者は「IoTとは、人や物に電子のカラダをプラスする技術」と表現しています。この「電子のカラダをプラスする」、つまりIoTの付加器を経由して、情報伝達をすることになります。「人や物」とIoTの間をどのように埋めるのか、つまり何をどう変換するのかを問題解決しなければなりません。第四章では「人や物」→IoTの変換、第五章ではIoT→「人や物」の変換を述べています。
【問題解決のプロセス図(三階層目)】
階層の一番下、つまり三番目は、IoT及び情報通信技術の「選択」のパターンです。IoT及び情報通信技術は、種類も豊富で「選択」の自由があります。したがって、「何を選択するのか」という問題解決をしなければなりません。第六章では「人や物」→IoTの測定技術の選択、第七章ではIoT・IT→「人や物」の動作を促す技術の選択、第八章ではIoT→IoT・ITの通信技術の選択について述べています。